部落格

学習教室

ヒートパイプのコンセプト、その起源

ヒートパイプのコンセプトは、1942年、米国オハイオ州G.M.社のR.S.ゴーグラー氏が出願した特許に端を発しています。1963年、グローバーは米国ニューメキシコ州のロスアラモス研究所でリチウム、ナトリウム、銀などの作動流体と、金属線をメッシュ状にした毛細管構造を使用し、ヒートパイプの研究を開始しました。当時、ヒートパイプはすべて金属を作動流体とし、約1万度以上の温度で作動するように設計されており、宇宙部品のような重力のない環境での使用に適していました。デベラルとケンメが低温ヒートパイプの作動流体に水を使うことを発見してからは、太陽熱温水器、自動車エンジン冷却、そして今日最も一般的な電子部品冷却など、ヒートパイプの用途はさらに拡大しました。

ヒートパイプとは、作動流体の相変化を伴う二相流を利用して熱を移動させる機械部品です。ヒートパイプは蒸発部、断熱部、凝縮部に分けられます。 この蒸気圧が蒸気を圧力が低い凝縮部へ流す原動力となり、凝縮部に達した蒸気は潜熱を放出して凝縮して液体となり、ヒートパイプの毛細管構造による毛管力を利用して蒸気部へ戻り、サイクルが形成されます。このサイクルは流体の駆動要素を追加する必要がなく、潜熱を利用して大量の熱を素早く伝えられるというヒートパイプの長所が活かされていることは特筆すべき点です。スペースの関係上、CPUを直接冷却することはできませんので、ヒートパイプを使ってCPUの端から端、通常はノートパソコンのケースの側面に熱を伝え、ケースの側面にある小型ファンを使って対流的に放熱する必要があるのです。しかし、ヒートパイプは14,000~20,000W/m.Kに達するのに対し、熱伝達率が低すぎることに加え熱伝達の速度も十分ではありません。したがって、熱伝達ツールとしてヒートパイプを使うことは非常に効率がよく、電子冷却に欠かせない熱伝達部品の一つとなっています。


作者

林唯耕・教授

学歴米国メリーランド大学博士
現職国立清華大学工学・システム科学部兼任教授
専門電子構造放熱、ヒートパイプ、ループ式ヒートパイプ (CPL、LHP、PHP)、省エネ設計、太陽エネルギー蓄熱と冷却、熱流システム、電子部品の冷却、二相流、人工衛星及び上空飛行物体の熱伝導部品

TOP