部落格

学習教室

林唯耕教授が解説:電気自動車向けの4つの熱管理ソリューション

電気自動車の熱対策には、大きく分けて空冷、液冷、直接冷却、相変化材料冷却の4種類があります。

 

I.         空冷式

空冷とは、低温の空気を媒体としてバッテリーの温度を下げる放熱方法です。 シンプルでメンテナンスが容易なシステムで、日産リーフやソウルEVなど初期の電気自動車から、電気バスや電気物流車などに広く採用されています。

 

II.        水冷式

液冷とは、冷却液とバッテリーの間で間接的に熱交換を行い、バッテリーから発生する熱を運び出すことでバッテリー温度を下げることです。選択する液体(現在の主流はエチレングリコール)は熱伝導率や比熱が高く、最高温度の低下や電池パックの均一性向上に大きな効果があり、しかも熱管理システムは比較的小型です。 液冷システムは、電池ユニットやモジュールを液体に浸す、電池モジュール間に冷却流路を設ける、電池底部に水冷板を使用するなど、柔軟に対応することが可能です。電池が直接液体に触れる場合は、短絡を防ぐために液体を絶縁する必要があります(例:ミネラルオイル)。 同時に、液冷システムの気密性についても高い要求があります。さらに、機械的強度や耐振動性、寿命なども要求されます。現在、BMW i3、テスラ、シボレー・ボルトなど多くの電気自動車で液冷が採用されています。

III.            直接冷却

直接冷却とは、冷媒(R134など)を使って潜在的な熱を蒸発させることで、車両やバッテリー系統にエアコンシステムを設置し、エアコンシステムの蒸発器をバッテリー系統に設置し、冷媒が気化してバッテリー系統から素早く効率よく熱を運び出すというものです。電気自動車用の直冷式熱管理ソリューションの代表的な例としてBMW i3があります(i3には液冷式と直冷式の両方のソリューションがあります)。

 

IV.           相変化材料 (PCM) 冷却

相変化材料とは、温度によって物性が変化し、電位発熱する材料です。物性が変化する過程を相変化といい、材料が大量の潜熱を吸収したり放出したりします。相変化材料は溶ける過程で大量の潜熱を吸収・蓄積するため、電池パックに適用すると内部温度が大きく低下してしまうことがあります。一般的な相変化材料としてはパラフィン、高級脂肪酸、ポリオレフィン、アルコール類などがあります。Gogoroは現在、自社の電動バイクのバッテリーパックにパラフィンワックスを使用し、熱を吸収して温度を均一化させています。

 

Editorial staff T-Global Marketing


作者

林唯耕・教授

学歴|米国メリーランド大学博士
現職国立清華大学工学・システム科学部兼任教授
専門電子構造放熱、ヒートパイプ、ループ式ヒートパイプ (CPL、LHP、PHP)、省エネ設計、太陽エネルギー蓄熱と冷却、熱流システム、電子部品の冷却、二相流、人工衛星及び上空飛行物体の熱伝導部品

 

TOP